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2002.07.05 究極の選択
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今年も後半に入った。そろそろ来年の予定を検討しなくてはならない。...しかし。今年まだ2戦しか走ってないよぉ〜!なんでぇ、どおしてぇ?これは一体どういうこと〜?うがー!
と、軽く取り乱したところで。先日のパワトレMANIAではリアタイヤが無くなった。話が唐突?それは今に始まった事じゃないでしょう。とにかく、リアタイヤが無くなってドライブは楽ちんだったの。そん代わりタイムは出ないと言う。でもマジで楽だという。フロントが新品のA048、リアがワイアー(笑)なのに。
さて、ここで新たな選択肢が登場。NAフルチューンにするか、ターボにするか。機械式チャージャーは1号車がやってるのでダメ(なぜ)。つまり話は簡単だ。パワーが足りねぇんだよ、要するに。「俺は一番でっかい定常円は回れない」、確かにそう言った。MANIAに参加した人はご存じだろう。しかしその直後の試走ではグルグルグルグルいつまでも回っていた。これもご存じの通り。その時、俺と2号車に一体何が起こったか?突然に上手くなった?ノー、それは違う。そんなに都合の良いことが起こるような人生じゃないのだよ(笑)。
つまりそのとき正に、リアタイヤが無くなったのである。お陰でアクセルオンでもオフでも、ステアでもブレーキでも、本当に何をやってもテールが流れ出す始末。流れ出すだけならどっからでもサイドを引けば可能であるが、問題はその先。前後にちゃんとしたコンパウンド、具体的には新品のA048を履いていると、あそこまでグルグル回ってはいられないのだ。ほんの少しアクセルを戻すだけで、ほんの少しカウンタを当てすぎたら、それでスライドが止まってしまう。あそこまでRの大きい旋回なら、実際にはスライドしなくてもタイムは出る。タイヤのグリップに任せてベッタリ回ればそれでオッケー。でもさ、なんかつまんないじゃん(笑)?
プッシングアンダー対策も考える必要はあると思うが、とりあえずは“続くパワー”が欲しいかなって。で、究極の選択を迫られ、いや、勝手に迫っているのである。そこで相談。みんなはどっちが良いと思う?NAかターボか、その理由と貴方の体験談(笑)を添えて掲示板までお寄せ下さい。あ、ちゃんと競技会のこと“も”考えてね。ご意見待ってまーす!
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2002.07.09 マフラー直管床下排気
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KSCC、神奈川スポーツカークラブのジムカーナに初参加。横浜は瑞穂埠頭の米軍補給基地内で行われた。通称「べーぐん」と言われる所以だ。本来は競技会のはずだったがテロの影響で主催者の米軍側に色々と難しい面があるらしく、練習会としての開催であった。そのためかいつもトップ争いを繰り広げている常連組は、よくよく見ると街乗りラジアルだったりスタッドレス(笑)だったり。元々Sタイヤしか持ち合わせていない俺はリアにYOUから借りたタイヤを装着し、お陰様で73台中トップタイムと相成りました。ここまでは良いとしよう。
マフラーもげた(泣)。触媒と繋がる最初のフランジとメインマフラーとの接合部、つまり溶接がぐるり一周剥がれてしまい、完全に二つに分かれてしまった。当然、もの凄い爆音。まるでサイドマフラーの音だ。アクセルオフで減速すると、分割されたスリット部分から何か吸気音のようなサウンドまでが辺り一面に響き渡る始末(*_*)。
このマフラーは買った当初から触媒との接合が悪く、フランジの間からガスケットを吹き抜けてわずかに排気漏れしていた。ずっとそんな状態だったから、多少音が大きくなってもオーナーである俺自身は全然気付かずに乗っていたのだ。せいぜい「あぁ、ガスケットがもうホントにダメなのかな」くらいで。
ところが7月7日のKSCC、最後の走行に出ていくときだ。他の参加車両と並んで出走を待っていて、一台スタートするごとに一台分ずつ列は前進する。今さら説明するまでもないが、アイドルよりわずかに回転を上げてクラッチを当てるわけだ。その時、床下から「カララララン!」と音がする。クラッチを当てても当てなくても同じ。アクセルを軽く煽ると「カララン!」。大きく開けると「カララ−ヴォーオオン−カララララン!」...。何度も降りて床下を覗き込んだ。何かが外れてマフラーに当たっているとも考えられる。2号車と地面との隙間、約9cm弱(笑)ではなかなか状況が把握しづらい。少なくともマフラーのボルトとナットは全てちゃんと締まっている。たまたま位置が少しだけずれて触媒脇の遮熱板にでも触れているのか、と思ってテールをこづいてみた。「ゆーら」。え?もう一回。「ゆーらゆーらゆーら・・・」。完全に動いてます(T-T)。
結果から想像すれば分かる通り、もちろんそのまま走りました。全開ですよ、ええ。荷物を降ろして1名乗車の時にしか全開にできない危険な燃調(詳細後日)と相まって、まるで2ストの様なサウンド!そう、これはNSR400の音じゃないか?てなことを帰りのデニーズで話ながら、途中で席を立ってちゃんとクルマに潜って見てみた。そしたらメインマフラーのパイプの脇から触媒の出口が見えましたよ(泣笑)。
はぁぁぁ。誰か良いマフラー知らない?そんなにうるさくなくてデフ下で、触媒さえ付けば鉄でも何でも良いから丈夫な奴。考えてみたら今週末は筑波でパワトレだよ。だから明後日までに入手できる奴(爆)。誰か教えてー!
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2002.07.11 走り続けるために−第三章
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ジェニファー2号車EDDY号のエンジンはNAチューンで行くことに決定しました。掲示板・メール等でご意見いただいた皆様、ありがとうございました。
俺自身の希望としては、最終的に215幅のリアタイヤを振り回せるトルクが欲しい。ノーマルが恐らく最大で12kgm程度、現在搭載しているAE92後期エンジン+256ちょいコンプで実測14kgm程度のトルクを発生していると思われる。この状態では195幅でもパワーを喰われがちだ。そこから想像するに17kgmくらいの最大トルク、13kgm程度の常用トルクが欲しい。現在考えているのは次に上げる3種のプラン。3>2>1の順でハイパワーだ。
1. AE111に搭載される5バルブ最終4AGはカタログスペックで165馬力@7000rpm&16.5kgm@5600rpm。レブリミットは8000rpmだ。レブリミットの割にはパワーは出ているが、トルクそのものが足りていない。これを克服するために、やや作動角の広いカムを組むくらいのチューンは必要だろう。このプランの特徴は、基本的にノーマルエンジンそのままであるという耐久性への期待だ。これを死守するためにレブリミットは変更しない。より大きなトルクを低い回転数から得られるようにアプローチする。VVTも活かしたまま。良くて実測160馬力、17kgm。最大トルクを6000rpmまでに発生したい。ベースエンジンと基本的なオーバホールを含めて70万円コース。
2. AE92後期ベースでエンジンを作るとすると、まずは圧縮比の確保から。12:1程度は必要だろう。11:1を超える圧縮比は現実的でない、などと書かれている雑誌やムック本も目にするが、実際には大丈夫。要は燃料が的確に送り込めれば良いのである。WISECOのフォーミュラアトランティック用ピストン+ノーマル厚(1.0ミリ)ガスケット、もしくはTODAのハイコンプピストン+0.8ミリガスケットでほぼ狙った圧縮が得られる。せっかくの圧縮を活かすためにはできるだけ高回転を回したい。ただし下がスカスカになってタイムに結びつかないようでは仕方がないので264/264カム辺りで8500rpm常用を目指す。170馬力、17kgm、ピークトルクは7000rpm前後に。レブリミットは8800rpm。ここまで回すためにはクランクシャフトのバランス取りが必要で、それを含めた総費用はおおよそ60万円。
3. GZのブロックから全面的に手を入れて作る方法もある。この場合はブロックの耐久性の高さに期待して、限りなく高回転を狙っていく。コンロッドやクランクはAE101にするかAE111にするか、とにかく“回せる”組み合わせを採用し、全てにおいて最善の手を尽くさなければ意味は無いだろう。インジェクションで回せる限界と思われる1万回転を、300度のカムを使って実現する。当然インナーシム化、ヘッドにも逃げ加工が必要。サージタンクもワンオフで、場合によってはオイルラインの新設も必要かも知れない。何と言っても軽く180馬力は確保できるハイパワーが特徴。ジムカーナをターゲットとして低回転にトルクを振ることはできないかも知れないが、上を回せるエンジンだからファイナルを落として対処する。最大トルクは17.5kgm@8000rpm辺りか。駆動系の改善とトラクション不足の解消(等長リンクなど)を含めて恐らく総額120万円コース。
気になる耐久性は1>3>2の順になるだろう。ベースエンジンにも依るが5万キロ、3万キロ、2万キロ、と言ったところか。費用は見ての通り2>1>3。パワーは既述である。ここまではジムカーナだけを対象として検討しており、そのアプローチに間違いはない。が、ローダーで運ぶような根本的にスタンスの違う活動をしたくはないし、毎週セッティングしないとまともに走らないと言うのも言語道断だ。そうするとプラン3は却下。メンテナンスガレージに預けたままにしておくことが前提となるからだ。あとはコストパフォーマンスと財布との兼ね合いで決まる。費用的、パワー的にはプラン1も2もいくらも変わらない。何が違うかといえば耐久性だ。誰も約束できないし保証もされないだろうが、プラン1の耐久性は特筆すべきものがある。唯一、いや残る二つの懸念はエンジンよりも先にボディーが駄目になる可能性、それからエンジンが終わる前に結局パワーが足りなくなる可能性。しかしもうその時はその時だ。とりあえず、今のマシンで行けるところまで行こうと思ったらエンジンにもシャシーにも、本格的に手を入れていく以外に選択肢はない。
結論。次は5バルブでいく。さすがにDIYの時間も取れなくなってきているので、ベースエンジンの手配から乗せ替え作業、最初のセッティングまでを全てプロに依頼する。これだけ金をかけて速くなかったら洒落にならない。その通りだ。車両を新車で見積もったとして、足回りやボディーパーツなど、全てを積算してもまだ250万円だ。同じ金額で手に入るあらゆるマシンより速く走れればそれで良い。全ては走り続けるために。
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2002.07.12 メンテ:エンジンオイル交換 Quaker State Splender 5W-40
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2002.07.17 懐かしの迷タイヤ
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あまりにも競技会が少ないので14インチのTE37には街乗りタイヤを履かせてしまいました。AZENISのサイレントスポーツ。残念?いやぁ、とっても楽しみ。静かなタイヤは大好きよ。首都高の継ぎ目でフレームがちぎれる恐怖と戦わなくて済むし。もしもの時のために、15インチは4本とも積んで走るから大丈夫。いざとなったらちゃんと勝負できるさ。あ、でも15分待ってくれる?タイヤ替えるから。
って冗談はさておき。シリーズ参戦していないから競技会が少ないと思っていたけど、よくよく見ればまだあと7戦も残っている。そちらは15インチで走る。14インチと比べて重いのが難点だが、こちらはタイヤ幅を選べるメリットがある。筑波などの狭いコースでは前後195、関越・浅間台などのやや広いコースやカートコースではリアのみ215の予定。競技用にリアタイヤを2セット使うと、もうこれで今シーズン中はタイヤを買い足す必要はないはずだ。
新しく買った215/50R15のSタイヤは某えんどうさん(某になってない)にあやかってA038。モデル末期に追加されたSLコンパウンドだが、製造から1年くらい経っているからもうそれほどグリップしないかも知れない。それ以前に、このA038というモデルはその性能面であまり良く言われていない。ハッキリ言えば、クソタイヤ(失礼)と評されることも少なくなかった。
以前これを履いたときの印象では、とにかく横に滑るタイヤだった。縦方向は強烈に良い。特にブレーキに強い。直線的に減速するだけなら、今でも多分最強のタイヤだと思う。圧倒的に制動距離が短くて、下手をすると減速しすぎてしまうくらいであった。だが、ちょっとでも横方向にGが入ると途端に真横に逃げていく。そういう意味では乗り方の難しいタイヤで、例えば細かいターンの立ち上がりで必要な処置(カウンタやアクセル開度の調整による進行方向の制御)が適切、というかかなり正確に行われていないと、アクセルオンでズバッと横に回ってしまったりする。ターンインでも同様。ブレーキが効くからその気でステアを当てていくと、フロント荷重のままドアンダーになったりする。縦方向はほぼそのままに、横方向のグリップを大幅に改善したのがA048だ、と言えば分かるだろうか。
ここまで読んで、分かった?どういう意図で今さらこのタイヤを買ったのか。さーて、どういうつもりでしょうね。
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2002.07.19 純正か新型か
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それにしてもブレーキキャリパには参ってしまう。もう中古を買って替えてみても、OHしてみても、具合が良いのはほんの数ヶ月。イベントにして4〜5回だ。サーキットを走ったりして高熱が入らなければフロントはまだ良い。問題はリアね。
パッドを交換、またはエア抜きをするために、割と頻繁にキャリパのロックボルトを抜く。その度に、当然スライドピンを軸にして本体を移動するわけだが、これがどうにも困難。動かない、というよりはガタが大きすぎて引っかかるのだ。時間が許せばグリスも交換しているが、焼け石に水。大抵はイベント1回で、いや、それすらも持たずに元の悪い状態に戻ってしまう。
可動部は少なければ少ないほど良い。ハチロクのキャリパはフロントもリアも、片持ち式の旧態然とした代物だが、これで充分な性能が発揮できるなら本当はそれが一番良い。やれ対向4ポッドだ、ブレンボだ、と使いもしない性能を備えた高価なパーツをひたすらメンテナンスする金と暇があったら、その分も走った方が間違いなく幸せになれる。ピストンが4つあったら4倍の確率で壊れる。嘘じゃない。計算してみると良い。元々1個しかピストンがなければ、これを直せば修理は完了である。そういう意味でも無闇やたらに大容量ブレーキシステムを装着するのは得策でない。何人かのプロフェッショナルにもアドバイスされた。一度新品のノーマルキャリパを組んでみろと。そう、本当はそれが一番良い。
...はずだったのだが、それがそうでもなくなってきた。7月16日の調査によると、AE86の新品リアブレーキキャリパはなんと36,500円。念のために明記するが、この値段は左右セットでのものではない。1個だ。しかも税抜き。外した状態をまじまじと見たことのある人なら分かってもらえると思うが、自動車部品としてはどう見ても2万円程度と思われるそれが、時の流れと共にかような価格まで高騰しているのである。いや、需要供給曲線に示される価格上昇の仕組みに則っていないから、高騰という表現は適切でない。もはや誰も買わなくなった部品を、製造元のトヨタ自動車が顧客のユーザビリティだけのために細々と作り続けてくれた結果、企業として許される価格設定が上記の数字になったまでの話である。まだ純正部品が手に入る、この事実に関してはユーザとしては本当に感謝すべきだ。例えスロットルボディーがアッセンブリーでしか買えないとしても、鳴き止めプレートがブレーキパッドとセットでないと買えないとしても、“買える”という事実があればこその贅沢である。
とは言え、さすがに左右で76,650円もの大枚をはたいてリアキャリパを手に入れるのも気が引ける。かと言って、何十万キロ走ったかも分からない中古をかき集めるのももうたくさんだ。初期投資はそれを超える金額になるとしても、もう少し長期間、安心して乗れるリアブレーキが欲しい。OHすればちゃんと元通りの性能を発揮するレベルの、つまり最新のタイヤを履いて毎週のように走っても性能が維持できる“新しさ”が欲しい。時代と共に向上した技術が欲しい。このコラムはある特定の人物に向けて書かれている。読んでくれただろうか?私の知っている全AE86ドライバーを代表してお願いしたい。ぜひリアブレーキ換装キットを作ってください。お願いします。
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2002.07.20 思い通りに行くものか
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さて、ブレーキの件はひとまず置いておいて。215/50R15の続きを説明しよう。製造から時間が経っていてコンパウンドの状態が何とも分からん、という不確定要素と、微妙に外径が大きくなってギア比が変わること、バネ下重量増による影響は、これを保留させてもらう。
これまで走っているタイヤは前後ともA048の195/55R15。これをリアのみA038の215に替えてみよう、という試みだ。本当は第一弾としてD01JかRE540S辺りで試したかったが、運良くA038を安価に入手することができたためとりあえずこちらから行ってみる。これは本来は予想していなかった、いわば第二弾に当たる実験で、「懐かしの迷タイヤ」で書いたのとはかなり方向性が違ってくる。
前述の通り、A038は縦方向のグリップに優れている。それは横方向に比較すれば、というレベルではなかったと記憶している。タイヤ幅は1割り増し。このことから単純に前後方向は1割り増しのグリップを発揮すると仮定しよう。で、横方向。これは縦に比べると軽く2〜3割ほど弱い印象だった。タイヤ幅の増加で1割は戻すとしても、これまでより1割ないし2割程度のグリップを失うことになる。フロントはこれまでと変わらずA048の195/55R15だから、もっぱらリアの動きのみが変わることになる。ここがポイントだ。具体的には横Gが入った時にリアだけがスライドしやすい方向にリセッティングされる。箇条書き的に書くと次のような結果が予想される。ブレーキ=ほぼ変わらず、ターンイン=やや向上、連続旋回=向上、加速=やや向上、ただし進行方向の正確な制御が必要 ...。
直線的かつ、やや突っ込み気味にコーナーに入って積極的に向きを変え、時間的にも量的にも的確なカウンタとアクセルワークを駆使できれば、短いブレーキングと素早い旋回、それに鋭い立ち上がりが両立できる、気がするのである。大きな横Gが入ったまま高速コーナーを踏んでいくようなステージではただのドリフトマシンになってしまう可能性があるが、立ち上がり重視の細かく狭いコース設定、例えば筑波や相模湖のようなステージではこれまでより有利に働くと俺は踏んでいる。
そんな古いタイヤで今さら走りやセッティングを詰めたって無駄?いやいや、そうでもないよ。異なった挙動を示すマシンをコントロールすることでドライバーとして少なからず得る物はあるし、思惑通りに走れて勝ち星が増えるならなお結構ではないか。ターゲットは8月11日の神奈川戦(相模湖)、9月7日のBPスーパートライアル(筑波)。古さ・ギア比・重さから来る不安も考えると、そんな思い通りに行くものか、と自分でも思うが、何も考えないよりはちったぁマシだろう。上手くいったらお慰み、だ。
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2002.07.21 速いかどうかは着いてから
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リアタイヤが無くなった。わざわざ書くくらいだから、もちろん本番競技走行用のA048。新品を下ろしたのが6月2日相模湖の神奈川戦、ここで3本走行。次は6月8日のBPスーパートライアルで6本走ってる。7月7日のKSCCで1本だけ使い、今回7月20日のSGCで8本。競技会4回、いずれも1分前後のタイトコースを都合18本走行して、愛しのリアタイヤはその短い一生を終えた。
なのでまた買った(笑)。思い返してみると昨年もそうだった。シーズン中盤でリアだけが先に無くなってしまうのだ。フロントはシーズンの終わりまで、いや翌年最初の練習会くらいまで持つ。リアだけは競技会にしか使わないのに年間2セットを消費してしまう。昨年の競技用タイヤは195/60R14だったからまだ良かったものの、今年は15インチで走っているのでそれだけ経済的負担も大きい。
練習用タイヤのグレードを落として、経済的なものを相殺しよう、というのがAZENISサイレントスポーツだったわけだ。サイレントじゃない方にすればそれだけSタイヤに近いグリップ性能を得られたのかも知れないが、本当の意味で街乗りと両立しようと思ったら初代のAZENISではちょっと不満だ。俺なんかSタイヤで街乗りしてるよ、という人もいるだろう。俺だってそういう時もあった。首都高の路面の継ぎ目やマンホールを乗り越えるたびにクルマが痛む、などという消極的な理由ではなく、Sタイヤや初代にはない大切な性能がサイレント〜にはあるのだ。
タイヤの排水性を語るとき、V字の溝がどうこうとか、撥水コンパウンドが云々とか、色々な謳い文句を目にすると思う。ほとんどは広告かタイアップ記事に過ぎないわけだが、どうも本当のことを書いている誌面が少ないように思う。メーカー直営ではない、古くからやっているタイヤ専門店のオヤジに聞いてみると良い。水の多いとき/少ないとき、車重との関係、ステア量による変化などなど、話好きのオヤジなら止めどなく語ってくれることであろう。おおよそ雑誌に書かれていることと違わないのだが、実使用条件で絞り込んで聞いてみると明確に答えが見付かる。特にハイドロプレーニングで怖い思いをするシチュエーション、そこそこの速度が乗っていてフロントが浮き上がった状態には、高速道路で直面することが圧倒的に多い。そこでは多くの時間がご存じの通りほぼ直進状態である。その場合はつまるところ、排水性はストレートグルーブの数と太さ、それと深さに依るところが大きいのである。
参加者として自分のクルマを出す場合、コンパウンドの寿命や往路でのパンクなどを考えなければ、競技用のタイヤをそのまま履いていくのが楽ちんだし荷物も少なくて済む。だが俺の場合、問題は主催のとき。まさかテントやフラグ、参加者の名簿やコース図などを積んだまま高速道路で1回転、というわけにはいかない。少なくとも俺だけは会場に辿り着かなければならない。そのタイヤが速いかどうかは、無事に会場まで着いてこその話なのである。その点だけを見れば、手持ちのGRIDIIやRE711などでも用は足りる。往復の道のりでは全く不満はなく、快適だし安全だ。しかし実際にそのまま練習しようとすると、もうどうにも力不足の感は否めない。あまりにもグリップが違いすぎてSタイヤでウェット走行をするよりもゆっくりとした速度でしか走れない。荷重移動もままならないので曲がらないし止まらない。
そういうわけでAZENISサイレントスポーツには期待している。このコラムの読者には「オーツタイヤ」と言ってもなんだか今一つピンと来ない人が多いだろうけど、ダートラでFALKENカラーと言えば常に優勝候補として知られているし、スーパー耐久でも何年か続けてチャンピオンを獲り続けてきたメーカーだ。特にダートでの戦績は目を見張るものがあり、このメーカーが水と泥の処理について抜きん出ていることが窺える。ついでに業界裏情報(笑)、コストパフォーマンス最強と言われるオー○○ックスの自社ブランドタイヤをOEM供給しているのは、何を隠そうこのオーツタイヤである。てなわけで、インプレッションはチューンのページでね。
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2002.07.21 メンテ:エンジンオイル交換 Castrol Syntron EXTRA 5W-50
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2002.07.22 出た分だけしか入れられない
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相変わらずマフラーは床下に接触、走行中はエンジンの振動に同調して不気味な轟きを車内に撒き散らしている。だが、それとは関係なくエンジンの調子は上々。お陰様で初参加のSGCでもクラス優勝させてもらい、念願の折り畳みイスをゲットしました。これ、自分で主催者にリクエストしたのよ。ありがとう、にしちゃん。これで会場で座れるわ。嬉しい。
それはそうと、床下接触の事実を別として、マフラーがちゃんとしたらこれまた随分とパワーアップ。煙突と同じ仕組みだから当たり前と言えばそうなんだけども、なかなか確認する機会がないのでちょっと驚いちゃった。
太くても細くてもダメ。ここまでは雑誌にも書いてあるしみんな言葉では分かってる。じゃあ細くてスムーズなのと太くて途中に障害物があるのとでは?てわざわざ書いたら分かっちゃうね。当然、前者の方が良い。
マフラーをボディーに当たらなくするか、こないだまで付けてたマフラーを直すか、どちらかはやらないと床に穴が開く。それはそうなんだけど、クルマをいじるのに「ただ直すだけ」ってのがどうにも我慢できない俺は、ついにあるものを注文してしまった。これによってボディーに当たらなくなるわけではないし、もちろんもげたフランジがくっつくわけでもない。
注文したものがなんなのか?それはその内に分かるでしょ、ってことで置いといて、今日は燃調の話をひとつ。段々と裂けていくマフラーに合わせていじった燃調がこれまた危険極まりない。ちゃんと排気が抜けるようになって、すなわちちゃんと吸気が続くようになってパワーアップしたエンジンは、何度も言うけどとてつもなくパワーアップした。それを“抜けない”ときの燃調で走らせたもんだから、あっちでカリカリこっちでカラカラとノッキングの嵐だ。こりゃあさすがに怖い、ってんでフリーダムECUのダイヤルを一つ回して再起動。以前のデータに戻した状態になってるわけ。いわゆるK君スペシャルだな。それで今はとっても快調。ところがね、ちょっと面白いことがある。新しいマフラーを付けて、この辺の回転域は調子が良いよ、と書いたちょうどその付近。2800〜4500rpmくらいかな。以前はFC-03(フリーダム)の空燃比確認出力で「リッチ(濃いめ)」と出ていたのに、今は「リーン(薄め)」の表示なのよ。音から言って、そんなに極端に薄いはずはないんだけどさ、つまりそれだけ混合気が上手く入っているって事だよね。ログを取って比較したわけじゃないから正確にどの程度かは分からないけどね。ま、ご参考まで。
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2002.07.24 出てこいFR!
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実はFRだからこそ勝てると思っている。トヨタや日産、もちろんマツダにも、そしてホンダにも、何度となくリクエストを出している。1600ccNA、クローズドボディーのFR車が欲しいと。新車種をリリースするのはそんなに簡単な事じゃない。だが無理でもないだろう。
初代ロードスターが登場したとき、俺は感激するとともに驚愕した。彼らのマーケティングにだ。1600ccオープン2シーターを単独モデルで売ろうという大英断、これが成功の理由だ。オープンだから、ではない。“その目的のために”新しいクルマを作った気迫が市場に届いたのだ。だがその車名から、クローズドボディーの設定が為されないことも容易に想像が付く。俺は街中に溢れ出すロードスターを横目に見ながら“次”を待った。どんな名前でも良い。意匠もシャシー周りもNA6と同じで良い。“屋根を取らないこと”がもたらす数多くのメリットは、自動車の設計士なら誰でも知っている。あと100kg軽くできる。マツダよ、ロータリーを積んでくれ。更に50kg軽く。コスモの、SA22Cの再来を。...NA160馬力で車重800kg、コンパクトスポーツの金字塔を打ち立てるチャンスだったのに ...。
5バルブの4A-Gや13Bをフロントに積んで往年のM3の様なソリッドなボディーを被せたら − 全長4Mを切る車重800kg台のFR2シーターがあったら − 欲しくはないだろうか?何も滅茶苦茶なスーパースポーツカー、ロードゴーイングレーシングカーを作ろうというのではない。
軽さを最大の武器として活用すべく、脚周りも不利を承知で簡略化。フロントはマクファーソンストラット、リアはセミトレーリングアーム。ジオメトリ変化のまずさはブッシュの組み付け精度と車重の軽さでカバーできる。フロントのオーバーハングが気になるならテンションロッドを後ろに引っ張ってもいいし、ハブ側がスフェリカルジョイントでないなら最初からAアーム形状でも良いだろう。バルクヘッドの中央をキャビン側に突き出させ、可能な限りエンジンを後ろに搭載する。ほんの数センチでも良い。どうせ今時のクルマはオーディオもエアコンの操作盤もあっちこっちに移動されているから全く問題はない。もちろんドアの窓枠は省略せず、サイドシルも分厚く立ち上げる。マーク2やクラウンでさえあんなデザインが許されるなら、Cピラーだって限りなく寝かせられるしガラスも極力小さくできる。70〜80年代に流行ったJラインを再現するのも良いだろう。ボディー剛性に任せて各部のチリも詰めに詰め、意匠デザインの力で極端に短いドアとぶっといBピラーをカモフラージュする。後部座席を諦めることで燃料タンクもずっと前に置けるし、寝かせて小さくしたリアウィンドウに追随する形で縦方向にラゲッジスペースも稼げる。タンクが移動すればリアサスのアーム長も最適化される。ついでにリアサスのストロークも充分に長く取れて一石三鳥だ。車重を増やさなければクラッチもデフもブレーキも、さほど大げさにする必要はない。ついでにホイールサイズも一回り小さくできて、更に軽くコンパクトに。外径の大きなタイヤのメリットは失われるが、その分サスのストロークを大きく取るかタイヤハウス付近の剛性アップにスペースを使えば合理的と言えよう。
これをベースにしてFISCOでワンメイクレースを開催しよう。少なくともアルテッツァよりは現実的だし、ヴィッツよりも魅力的だ。筑波のP-FRやTIのチャレンジカップに追加設定するのも面白い。エアコン・パワステ・パワーウィンドウ・電動ミラーとオーディオ等の電装品を省いたレースベースをTRDに供給。MR-Sが170万円ならばクローズドボディーのこのマシンは150万円程度で手に入るだろう。
そんなの2名乗車登録のハチロクに5バルブを積んだのと変わらないんじゃないかって?いやいや、全然違う。まずボディー剛性が違う。アシが違う。トレッドもホイールベースも長くなり、かつボディーは短く低くなっている。前後の荷重バランスは5.2:4.8(ちなみにハチロク2ドアは5.6:4.4)。なぜFDみたいにちょうど5:5を狙わないかって?圧倒的に車重の軽いこのクルマの唯一の弱点はやはりトルクの無さだ。できるだけ早いタイミングで向きを変えてエンジンのトルクバンドに持ち込めるように、また無闇にLSDにパワーを喰われないように、クリップ〜アクセルオンまでは必要最低限のリア荷重に抑えたい。ブレーキング〜ターンインの安定性は軽さとリアサスの長いストロークが助けてくれる。向きさえ変わればこっちのもんだ。リアに荷重が移って4.5:5.5の前後バランスとなったマシンはMRのゼロスタートと同等のトラクションを得られる。全開。そう、これはアクセルを開けることで全てを解決しようという“快感マシン”でもあるのだ。さぁ、出てこい!新しいFR!
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2002.07.30 走り続けるために − 第3部 2章
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最初からNAで行こうと決めていた。だったらなぜみんなにアンケートなど採ったのかって?一緒に考えるとみんなにも良いことがあるんじゃないかなー、と思ったの。ごめんね。今日はそのお話。
例えばターボ付けて250馬力出して、それを受け止めるために補強して冷却してポンプやコアも追加して、ってやっていったらどうなるだろう?軽く100kgくらい重くなるよね。第一、過給器をつけた段階でライバルはCJやEKじゃなくなる。今のクラス分けでいくとFDとSW、それにS15とインテRだよね。足回りの形式も、ボディーの剛性も、どうやっても勝てない相手と戦う羽目になるわけだ。どうしたら勝てるのか?ターボにしたと言ったって、パワーだって別に突出して大きい訳じゃない。ライバルのターボ車達だって軒並み240馬力以上だし、インテなんかNAで200馬力もある。そう考えると唯一の武器は車体の軽さだ。加速・減速・旋回性能の全てにおいて優位に立てるこの条件を、できるだけ活かす方向で考える。ドラシャがちぎれる?−結構。クラッチが割れる?−構わない。油温が上がる?−休むしかない。ボディーが割れる?−溶接しよう。そうやって車重950kgを死守して初めて、本当の4AGターボの意味がある。
これでは多分、無理だろう。何が無理かというと、走り続け、勝ち続けること。どう無理かというと、経済的にだ。走って壊してまた直して、これを毎週のように繰り返すことでそのポテンシャルを維持するマシン。搬送中に壊れては元も子もないからローダーで運搬、ガレージから会場へそしてまたガレージへ。一体何のためにナンバーが付いているのか分からないクルマになる。ローダーで運ぶくらいなら最初からC車を作った方が遙かに気が楽というものだ。それ以前に、車両製作とメンテナンスで年間200万円も注ぎ込めるなら、最初からFDを買えばいい。
煙草を買いに行くハチロクに冗談でターボ付けました、というなら別に良い。時たま壊れて走れないときもあるんです、そういうクルマなんです、って納得できるならそれも良い。出ることに意義があるんです、勝負は二の次なんです、というスタンスならそれでも良い。だが俺は嫌だ。人それぞれにスタンスが違って当たり前だから、誰にも強制するつもりはない。でも俺なら、走る以上は勝ちたい。2位や3位も要らない。目標は入賞です、なんてことはとてもじゃないが言えない。
「出てこいFR!」で書いたようなクルマが発売されるなら、それに乗り換えるのが一番良い。エンジンを含めた多くの機能部品は黙っていれば10年間くらい持つだろう。なにより新品の鉄板が嬉しい。ふざけているわけではない。どんなに手を入れたクルマでも、結局はモノコックの、つまり鉄板の寿命以上には走り続けることはできない。補強を入れようとすると割れる、溶接した部分が鉄板ごともげる、部品を外すともう元の穴に入らない、等々。鉄板の歪みはクルマの悲鳴そのものだ。「もうこれ以上は走れない」と。
5バルブを載せようと言う計画は、乗り換えるべき車種が見付からないから、という消極的な理由。だがいくつかの選択肢の中では最も勝負に積極的な理由でもある。勝てるギリギリを狙って、壊さないように、壊れないように。あと4年間、走り切れば。それまでに新しいFRを迎えられれば。2006年3月。これがタイムリミットだ。磨き上げられた粉体塗装の皮膜を纏って輝くマシン。超軽量高性能ユニットをアピールするツインカム16バルブの文字。シリーズ中で唯一FRのレイアウトを守ったスペシャルティーカー「AE86」。その1台として、俺のマシンが初めて陽の光を浴びてから、ちょうど20年になる。
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2002.07.31 速報!“減らない”マジック
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27日はASSOのナイトバトルジムカーナ。富士山麓の日本ランドにあるスキー場「YETI(イェティ)」の駐車場で開催された。ミラーコース(左右対称)ではない、本当の同一コースに同時出走して戦うトーナメント式のジムカーナだ。そうは言っても1本しか走れないのではつまらない、それが理由かどうかは知らないが、敗者復活戦が用意されていて少なくとも2本は走れる。もちろん、勝ち進んでいけばそれだけ走行本数も多くなる。
この日、俺は運良く、あれよあれよと勝ち進んでしまってついにはクラス優勝してしまった。シグナルを見落として2秒近く出遅れたり、直線を帰ってくるまでサイドが戻っていないのに気付かなかったり、そんなポカをやっていたのに関わらず、だ。最終的に、各クラス優勝者でのトーナメント「バトルロワイヤル」の決勝戦まで走らせてもらって、競技走行だけで5本を走った。本当に「運」だけは良かったのだ。スタート失敗の時の相手がKANEだったら、サイド固定のときに“にしちゃん”とやってたら、軽く撃沈していたことは想像に難くないのだが。
標高1500Mのこの会場は下界とは比較にならないくらい気温が低い。夏でもちょっと雨が降るとコートが欲しくなるくらいだ。この日は雨こそ降らなかったが、競技開始の18時頃まで日本ランド名物の霧が、舐めるように路面を走っていた。受け付け開始の16時くらいから日が沈むまでの間に、結局一度も日差しを浴びることはなかった。夜だから当たり前とも言えるが、時間が経つに連れて気温は更に下がっていく。霧とも夜露とも付かない空気中の水分が色々なものに結露して表面を濡らしていく。ボディー然り、ガラス然り、路面然り。この季節では考えられないくらい、何もかも冷たく。
俺は新品のA048を下ろした。前後ともコンパウンドはS。いつもジムカーナ競技に使っているものでサイズも変わらない。競技前と後の練習走行を各1本、合計7本を一気に走ったこのタイヤは ...全然減っていない!路面の種類(?)もあるのだろうが、これにはマジで驚いた。路面温度が30度を切り、かすかにウェットで、ごく普通のアスファルト路面。このような状況では悪名高きA048もほとんど減らないのだ。逆に言えば似たようなシチュエーションが予想される場合は、やはりSSコンパウンドが必要、ということだろう。とりあえず今は、なんだか得した気分だ(笑)。
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2002.08.10 ニセ優勝車 問題編
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昨年、筑波サーキットビギナーズジムカーナのCF2Aを制した我が2号車。いわゆる優勝車の足回りは前後ともGABのレース用ショートである。これは今や過去の遺物とも言われる複筒式超低圧ガスショックだ。一時はカタログ落ちして流通在庫のみとなっていたが、6年のブランクを経て昨年復活、今ではまた入手できるようになっている。ところがこのブランク期間の間に、別なショックアブソーバーが流行していた。ご存じ「トキコHTSダンパー」。ミニサーキットをターゲットに開発され、事実そういうフィールドを走るコミュニティにはある程度のコストパフォーマンスを持った製品として認知されている。だがこれをジムカーナに使うとなると ...リアにちょっと問題がある。
GABのレース用ショートは全長475ミリ(TRDのAE831も同じ)、ストローク182ミリ、これに対してHTSダンパーは全長455ミリ、ストローク147.5ミリである。HTSの方が全長で20ミリ、ストロークで34.5ミリ短いのだ。本当はショックのガス圧も影響するが、ここは単純にサスで車重を支えているとしよう。本来はストロークの中央、つまりGABであれば91ミリ沈んだところを1G状態として設定するのが基本だが、今回は現実に見られるセッティングを再現する形で話を進める。ここではGABでストローク中心よりやや上、車両の静止状態でロッドが60ミリ沈んだところにセットされていたとする。これは車両総重量1100kg、前軸重620kg/後軸重480kgのとき、レート5kg/mm・自由長230ミリのサス(スプリング)で支えた状態を仮定している。もちろんレバー比とバネ下重量も考慮して、だ。全長が475ミリで沈み60ミリだからショックのアッパー/ロアマウント間は415ミリ。この寸法が装着されているサスで支えた高さを示している。 − このサスをそのままに、ショックだけをHTSに交換してみよう。
この状態で走ってみる。経験者の方はご存じだが、これはまともに走れないほどの酷いセッティングだ。ブレーキングからステアを入れてターンイン、するはずがしない。サイドからアクセルに繋いでターン、するはずがしない。踏んでいってわずかにアクセルを抜き、ライン修正、するはずなのに、これまたしない。ドライバーの操作が原因ではない。できないのだ。かと思えばアクセルターンに入ったらその瞬間にスピン。じゃあそのまま振り返して、とカウンターを当ててアクセルを入れた瞬間に逆回転スピン。曲がるのか曲がらないのか、その境目が唐突でリニアでない。恐ろしく乗りづらいのである。強烈なスタビを入れているのと良く似た症状だ。
HTSに換えてもサスはそのままだから、ショックのアッパー/ロアマウント間の距離は変わらず415ミリ。全長が455ミリだから1Gで40ミリしかストロークしていない。これが原因で走行中に何が起こったか。ロールするたびにイン側のショックが伸び側で底突きしているのである。しかもロッドのほとんど伸びきったところを使っているから動きそのものも悪い。
そもそもクルマが曲がるためにロールは必要なものだ。レーシングカートにはサスペンションそのものが付いていないが、これだってシャシーのたわみで同様の効果を発揮するし、第一にホイールベースが極端に短い。圧倒的に車重が軽く、エンジンのトルクに対して駆動輪(リアタイヤ)の幅が狭いことも曲がれる要素の一つ。仮にレーシングカートのホイールベースを2400ミリに延ばしてシャシー剛性はそのまま、前後にSタイヤを履かせたら・・・上記のマシンと良く似た特性になる。
レート5kg/mmで全長230ミリ、と書いたが、これはごく普通のショートショック対応サスに過ぎない。TRDを始めとする普通の強化サスを入れると黙っていてもこうなるのだ。外径590ミリ前後のタイヤを装着した状態でフェンダーの最高部が地面から590ミリ、つまりタイヤ上端とほぼ同じ高さになっている。近頃のハチロクではよく見かけるセッティングであり、俺の2号車だって例に漏れない。昔、これに似たような状況があった。車高短が流行りだした頃、やたらと“曲がらないハチロク”が増殖したのだ。原因はフロントのロールセンターの狂い。下がりすぎてロールアンダーになるのだ。これに関してはまた別の機会に詳しく解説するが、その頃はほとんどの人がロールセンターの意味すら知らなくて、アジャスターを入れることが一般的に知られるまで「ハチロクは車高を下げない方が曲がる」などと言われたりした。それと同じように、このリアショックの問題も本当はあちこちで発生しているのではないだろうか?以前、「曲がるまで待ってて」ではフロントに原因があると書いた。しかし本当はこのリアサスのストローク不足が主な原因なのかも知れない。このコラムはそう考えてのフォロー記事でもあるわけだ。
車高のバランスも前後の減衰特性も同じなのに、EDDYさんの2号車はやけに乗りやすそうだと思った貴方。とっても乗りやすいよ。だから優勝したんだもん(笑)。ひょっとすると、貴方のマシンが曲がらないのは、貴方のウデのせいではないかも知れない ...。
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2002.08.13 ニセ優勝車 対策編
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「クルマは“アシ”だ」俺の口癖の一つだ。競技会場で俺と話したことがある人は聞いたことがあるだろう。もう圧倒的に絶対に完全にアシなのだ。ある意味、エンジンなんぞ回ってればどうでも良いのだ。タイヤを如何に使い切るか、そのためのサスペンション、ブレーキ、そしてボディーなのだ。
ウデの違いももちろん無いとは言わないが(失礼)、それにしても曲がらない、もしくは挙動が唐突だ、と感じているなら、今使用しているショックの諸元(スペック)を調べて計算してみると良い。カタログを取り寄せるか、メーカーの担当部署に聞けば教えてくれる。教えてくれない?これは重要なことだから回答できないようなところから買うべきものではないぞ。車両に装着したらどこまでストロークしているのか、長さを測ってみると良い。その結果、もし「問題編」で書いたような状態であるなら対策を講じる必要がある。もしそうでないなら、全く別の原因があるのか ...もしくはウデの問題だ。ウデの方は練習すればやがて解決する。
HTSはショックとして悪い製品ではない。それはパワトレ35でKANEが車種別トップタイムを記録していることでも証明されている。とりあえず、ここではユーザー多数と思われる「HTS+長さ200ミリ以上のリアサス」の対策から教えよう。
■対策1:HTS+カラー装着 お薦め度:☆☆☆☆
リアショックの上端、ボディーにマウントするブッシュの下にカラーを入れよう。内径は19〜20ミリ程度、数ミリの肉厚を持つものを使うか、厚み3ミリ程度の平ワッシャを併用する。あまり薄い材質だとブッシュの皿を変形させる可能性があるのだ。長さは装着しているサスによってまちまちだが、20ミリ前後で良いだろう。フェンダーにタイヤが被る程度に下がっているならこれ以下でも良い。またこれ以上に車高が高い場合(フェンダーとタイヤの間が指2本分以上)だとサスを替える必要がある。カラーを高くすれば良いように思うかも知れないが、現実にはショック先端のネジ部が足りなくなる。例え入れられたとしてもそれ以上の長さ、40ミリとか50ミリとかを入れるのはお薦めできない。今度は縮み側のストロークが足りなくなる。
カラー取り付け後の走りは快調そのもの。ブレーキングできちんとリアが流れ出してターンイン、コーナリング中も舵角とアクセルワークに従ってリアが付いてくる。スピンモードに入っても舵角を戻してアクセルでリアを押さえれば綺麗に立ち上がっていく。既に2台のマシンで実証済みの対策だ。コストもほとんど必要ないし、効果は抜群だ。
■対策2:ショック交換 お薦め度:☆☆☆☆☆
そもそも2号車にカラーは入っているのか?とのご質問があったわけではないが、勝手に回答する。入っていない。GABのレース用(GPA1460;因みにフロントはGPZ1150A)、もしくはTRDのAE831(通称、ガス8段)、もしくは14080(通称、オイル8段)ならば長さの関係でカラーは必ずしも要らないのだ。つまりリアのみをこれらのショックに換えるというのも理にかなった対策となる。ただしここに挙げたショックを使っているのに「問題編」の様な挙動を示す場合は、5〜10ミリ程度のカラーを入れることをお薦めする。費用はショックのみとして2〜3万円程度。
■対策3:全長調整式ショック お薦め度:☆☆
だが、頻繁にリアサスを換えたり、スペーサーなどを用いて一時的にリアを上げたり下げたりしてセッティングを変更したりする人には、対策1も2も、とても面倒であるのも事実。そういう人は「全調整式リヤショックアブソーバー」にすると良い。車高調整ではない。ブラケットでショック本体を上下に移動し、あくまでも全長を調整するだけ(車高はサスで決まってしまう)。意味合いはカラーの装着と同じなのでこれでもあっけなく解決するはず。試していないので確実でないのと、ショックそのものの性能がどうもあまり評判が良くないので星は2つだ。お値段は35,000円ちょっと。
■対策4:リア車高調 お薦め度:☆
で、いっそのことリアを車高調にする。メリットは3つ。1:脱落の危険がないからどんなに短いバネでも使える、2:内径(ID)が会っていればどの直巻バネでも使える、3:そしてもちろん車高が調整出来る。しかしこれには大きなリスクが伴う。本来はサスで支えている車重をショックのカートリッジとアッパーマウントで肩代わりすることになる。カートリッジは交換が効くのでまだ良いとしても、ボディーマウント側は大変だ。補強は必須だし、その方法と範囲によってはギャップを飛んで着地した瞬間にボディーに大穴が空く可能性すらある。補強別で8万円前後、補強を入れたら11〜12万円というところか。車高調にすれば勝てる、という自信がある人、もしくはちょうど12万円くらい金が余っちゃった、という人だけやってみてください。
■対策5:ロアマウント加工 お薦め度:×
まだある。ショックの上にカラーを入れれば解決する問題ならば、逆に下を持ち上げても結果は同じだ。だがホーシングに固定されているマウントボルトを2センチだけ移設/増設するというのは事実上不可能だ。やるとすれば移設になるが、車高を下げようとしても戻すに戻せなくなる。だからこれは机上の空論、無理だと言うことを伝えておきたかった。
さて、貴方はHTS+カラー派?GAB/TRD派?それとも全長調整派?これを参考に蹴り足を決めて、美しいターンを決めまくってくださいな。じゃあ、週末にね。奥のサブロクんとこで待ってますから(笑)。
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2002.08.14 捻れるマッチ箱
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− 苦悩の日々を送るYOUに捧ぐ −
スーパーチャージャー(以下、SC)を積んで軸トルクが大きくなり、一体何が変わっただろう?最高速度が変わっても、そんなことはコースが変われば当然のことだからブレーキのキャパに影響はない。やはり加速、それも直進ではなく、舵の入った状態での加速に尽きる。
SCでなくとも、トラクションの掛かるアシを持ったハチロクはフル加速時にややフロントホップ気味になる。物理的にタイヤが浮くかどうかではなく、ロールとピッチが最大に組み合わさり、まるでモーターボートのような姿勢になるのだ。操縦性もまた然り。ドリフト状態でフル加速に入ったマシンはステアへの反応が鈍く、言い換えれば穏やかに安定した操縦性を示す。
アクセルオンで横に逃げる。ところがカウンタを当てるとアウトに逃げてスライドは止まってしまう。この操作と挙動のギャップは何なのか。ブレーキでもひょいとリアが出る。それも唐突に。外から見ていると良く分かる。ボディーの前後に連続した剛性がない。
最大の開口部であるドアを中心に、ボディーの前と後ろが捻れている。ちょうどマッチ箱の前後を両手で持ってひねった状態だ。箱の両脇をカッターで切って、穴を開けてみれば再現できる。そして対策もシミュレーションできる。箱の長辺に沿って、マッチ棒をテープで貼り付ければ・・・ほら、もう捻れない。
ロールケージをAピラーとBピラーに溶接しよう。できればフロアにも。これでほとんどの問題が解決するはず。前後が繋がったボディーは全ての操作に連続性をもたらす。ステアの入り・抜きにもリアがちゃんと着いてくる。なにより、フルスロットル時にわずかなノーズアップで発生したベクトルは、トラクションの掛かったリアタイヤにエンジンの重量までをも加算する。
もう時間がない。あと2週間。コース1000の1コーナーを、全開で立ち上がれ。
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2002.08.28 重たいカバン
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クルマに乗れてくると、次第に左右の“差”が気になってくる。右ターンと左ターンではクルマの動きが違うのだ。クルマそのものに左右差を生じる原因を持つ車種もあるし、厳密に言えばどのクルマも前後左右で微妙に違うのは当然である。だが、ほとんどはドライバーが中央に乗っていないこと、そのために荷重が片寄っていることが最も大きな要因だ。
本来であれば、左右に掛かる車重はそれぞれちょうど1/2ずつであるのが望ましい。1座式の車両、例えばフォーミュラなどではドライバーも中央に位置していて、ほぼこれを達成できている。しかし市販車でこれは難しい。ここでは右ハンドル車を前提に話を進める。左ハンドルに乗る人は左右を入れ替えて読んで欲しい。どうしても右側にはドライバーの体重のほとんどが加わり、左にはわずかしか乗っていない。ドライバーの体重が60kgだとして考える。トレッド幅いっぱいの位置にドライバーが着座しているわけではないので右に60kg全ては掛からないし、前後いずれかのタイヤの上にいるわけでもないのでそれぞれに重量配分がある。車種にも依るが、おおよそ右から1/4か1/3の位置、前後ではほぼ中央に座っているだろう。
クルマの姿勢が左右に水平なら、右側の前後輪に合わせて車重1/2+体重3/4が、左には車重1/2+体重1/4が掛かっていることになる。俺の2号車を例にすれば、右には495kg、左は465kgとなる。何?数字が足りない?いやいや、バネ下重量はこれを受け止める側だから計算に含めてはいけないのだ。あくまでもサスペンションが受け止める重量で考えなくては。
ではこの数字は本当に正しいものだろうか?会場に到着し、荷物も降ろした。ヘルメットを被りグラブを填めて、ドライバーである貴方がバケットに身体を収めたその瞬間、本当に上のような荷重バランスになっているだろうか? − 答は否、なっていない。なぜなら、乗り込んだその瞬間にサスがストロークし、クルマは右に傾いた状態になっているからだ。
水平でも左右に荷重差を生じていたのに、この傾きでそれがなおさら助長されてしまう。高校で習ったベクトルを思い出してくれ。だったら空車状態で右側が上がった状態にしておこう。ドライバーが乗り込んで下がる分を予め上げておいて、乗ったときに水平になれば良いだろう。NO、NO、これも違う。それでは上記の計算に戻っただけで、相変わらず右側の荷重が大きいことに変わりはない。重たいカバンを片手に持って歩いているとき、貴方は自分の影を見たことがない?その影はカバンを持った状態で左右水平に、真っ直ぐに立っていた?
俺の2号車はフロントが8ミリ、リアが10ミリ。これが空車状態で右が左よりも上がっている寸法だ。俺が乗るとフロントは5ミリ、リアは5.5ミリ上がった状態にセットされる。もう一度書く。俺が乗ってからも、右側の方が左よりも高い。乗車状態で右上がりの姿勢を作ることで、元々は右に掛かっていた荷重の一部までをも左側の足回りに持たせることができる。
左ターンの時だけイン側の後輪が浮き上がってしまう人、右ターンの立ち上がりで初期のテールスライドが大きい人 ・・・ 貴方のクルマ、本当はもっと速く走りますよ。ただし、荷物満載での一般道では気を付けて。クルマが勝手に曲がっていきますから(笑)。
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2002.08.29 猫のススメ
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なぜか俺は、競技会場で初めて会った人から足回りに関する質問を受けることが多い。ピンポイントで説明するのが難しい話題なので、時間さえ許せばタイヤからテンションロッドから何から何までベラベラと毎回同じ事を話している。そうして話をし、聞いてみると、トラクションブラケットの意味と効果を正しく理解している人が意外にも少ないのに驚く。
「元々ホーシング側が低かったロアコントロールアームを元の角度に戻す」、そりゃあ現象を説明すればその通りだが、なぜ戻すのか、どこまで戻せばいいのか、これを分かっていない人が多いのだ。第一、元に戻せば何もかも上手くいくなら、なぜ車高を下げたのか?戻すだけで良いなら車高を戻せば全て解決だ。それが出来ない理由と同じ明確さで、コントロールアームを、しかも下側だけを特に戻さなければならない理由があるのだ。タイヤのスリップロスがーとか、ショックの摺動抵抗がーとか、細かいことを抜きにして仕組みを説明する。
クルマが前に進むのはなぜ? − タイヤが回転するから。ご名答。ではその時、ホーシングはどちらに回(ろうとしてい)る?車体を右から見て、タイヤが正回転すればクルマは前進、つまり向かって右へ進んでいく。この時、タイヤは時計回りに回っている。ホーシングはそれを回すために、常に逆方向、反時計回りに回ろうと頑張っている。この頑張っている力がドライブシャフトに掛かるトルクだ。この力を余さず車体に伝えれば、クルマはエンジンのパワーを無駄なく使って前に進むことになる。ここでアームに着目する。上下のコントロールアームには、それぞれどのような入力があるだろうか?反時計回りに回ろうとするホーシングによって、上のアームは引っ張られている。反対側はボディーに繋がっている。下のアームは逆に押された格好だ。ホーシングに押されてクルマの進行方向に進もうとしている。もちろん先端はボディーへ。タイヤを回そうとすればするほど、ロアコントロールアームはボディーを前へ押す。
ではこのアームがちょっとだけ下に傾いていたら、ボディー側が少しだけ下がっていたらどうだろう。後ろからアーム後端を真っ直ぐに前へ押す力は、やや斜めに掛かってベクトルを形成する。キャップをしたボールペンを、両手の手のひらに突き立てて押してみれば分かる。右手に当たるペンの先端を少し下げて、左手で真っ直ぐに右手方向へ押す。左手が自然に持ち上がるはずだ。これがトラクションブラケットの無い状態。つまりエンジンパワーのいくばくかは、車体に対してホーシングを持ち上げるため、言い換えれば、タイヤを路面から浮かせるために使われることになる。
もうお分かりだと思うが、フル加速に入ったとき、ロアコントロールアームが水平になる位置が正しい。そうなったとき初めて、エンジンの持てる力は全て、クルマを前に押すために使われる。だから車高が変われば、サスのレートが変われば、ショックのロッド反発力が変われば、タイヤのグリップが変われば、自ずと再度の調整が必要だ。ただし物事はそう簡単ではない。ほとんどのクルマは、直進だけをするわけではないからだ。ステアが当たっているか、もしくは既に始まっていて旋回状態にある場合、左右のコントロールアームは違った角度になる。当たり前のことだ。アウト側のロアコントロールアームが水平になれば良いことは簡単に想像が付くが、直線加速との兼ね合いを解決しなければならない。それに旋回中と一口に言っても、タイヤのグリップ円が示すように旋回角と推進力は互いに相反する要素として対峙する。こんな理屈や人のクルマのセッティングを聞いて、はいそうですか、とセッティングが決まるほど、世の中は甘くないのだ。しかしこういう理論を知らなければ、到底辿り着けない領域があるのもまた事実である。何がどうなったらちゃんと走るのか。猫のようにクルマの下に潜って、たまには丸一日くらい考え続けるのもまた一興だ。ついでにデフのオイル漏れやスタビブッシュの割れを発見したりもして、決して無駄な時間にはならないだろう。
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2002.09.25 全開で走ろう神奈川県
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今日は、練習して練習してそろそろ腕試しをしてみたい人に朗報だ。筑波ビギナーズやG6ジムカーナなどに続いて、来年はJMRC神奈川県シリーズにクローズドクラスがシリーズ設定されるかも知れない。
9月25日のJMRC神奈川ジムカーナ部会に出席した。まだ公式に決定されたことは何一つ無いが、エントラントからの様々な要望をまとめた意見書は、大筋で受け入れられたと解釈できる。「目指せ!ジムカーナスペシャリスト」のえんどう氏が指揮を執って始めた「神奈川シリーズを盛り上げる活動」は、既存のエントラントだけでなく、これから参加を検討する層からも広く意見を集めていた。その中で、我々ジェニファーはクローズドクラスのシリーズ設定を要求した。皆さんのために出来ることは何かを考えた結果である。上手くなった先で走るフィールドを約束すること。今のそのクルマで。その仕様で。2戦、3戦と同じ仲間と走り続けられる日々を約束すること。これが命題だ。
形だったか、性能だったか、はたまた経済的な理由だったのか。今のクルマを選んだ理由は人それぞれだ。そのクルマで走りたい、誰が速いのか知りたい、と思ったとき、自分が走るフィールドはどこまでも続いていると誰もが思ってスタートする。だが現実にはそうではない。車両規定の問題、ライセンスとクラブの問題、JAF絡み、JMRC絡みの問題が“ルール”を締め付け、絞り上げ、入り込む隙間を限りなく狭めていく。
しかし今、神奈川が動き始めた。ライセンシーもそうでない人も、各オーガナイザーの代表も、一丸となって狭まった門戸をこじ開けようとしている。“運輸省令道路運送車両の保安基準に適合した車両” − これが11月10日開催、2002JMRC神奈川ジムカーナシリーズの最終戦、特別規則書に書かれたクローズドクラスの車両規定である。これは来年、2003年シリーズへの布石である。ナンバーさえ付いていれば誰でも出られるのだ。草案でのクラス分けは6クラス。Sタイヤ禁止の排気量別3クラス、SタイヤOKの同2クラス、それにレディースクラス。
来シーズン、クローズドクラスにシリーズ設定をしてもらうためには、この最終戦のエントリー台数が大切になる。皆さんもエントリーして、走りのフィールドを確保するために協力してもらえないだろうか?繰り返し練習してきた皆さんなら間違いなく走れる。競技会に慣れていない人は練習の成果を試す意味でも、歴戦の勇士の方は人助けだと思って、ぜひエントリーしていただきたい。ジェニファーはJAFのクラブではないので参加申込書に印鑑を突くことが出来ないが、皆さんのためにささやかなプレゼントを用意させてもらうことにした。参加者名に“ジェニファー”の5文字を入れてくれた方にはジェニファー・パワーパイロンステッカーを贈呈しよう。これまで入手できなかった方はもちろん、もう既に貰っている方も、クルマを買い換えたときのスペアに、もしくは左右ヘッドライトの下に1枚ずつ豪勢に(笑)、ぜひ貰ってやってください。では11月10日、JMRC神奈川の最終戦でお会いすることを楽しみに。
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2002.11.21 まだまだ走り続けるために
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皆さん、ご無沙汰しております。EDDYです。僕は完全なノーマル車を手に入れて、そこからまた走り始めます。誰か、あのマシンに乗ってください。僕の手元に来てからの6年間でジムカーナ走行合計1500本をこなし、“そのために”走るマシンです。まだまだ勝ちも狙えます。余程のことがない限り、MR2やFDよりも速く走れます。ブレーキの不具合と再車検用のセッティングのせいで、11月10日の最終セクションではひどい挙動でしたが、それでもFR総合2位のクルマです。(※総合1位は「とうふ屋?トレノ」;つまりFR1−2はハチロクでした(^^;)これまで裏切ることなく走り続けてくれた、唯一無比のマシンです。大丈夫、走り方ならマシンが教えてくれますから。 ...さて、今回はハチロクを手放そうと考えた経緯でもお話ししましょうか。
11月10日、JMRC神奈川の最終戦に行って来ました。会場は浅間台スポーツランド。ここは6月にスピマイアタックで走り、それ以来の会場です。その時と今回とではコース設定も路面温度もマシンセッティングも違っており、個人的に走りの方はダメダメでした。が、イベントそのものは素晴らしく、またこれまでジェニファーとして活動してきた僕にとっても、この競技会は非常に有意義なものであったのです。
参加台数129台、内クローズドクラス53台。JMRCの、つまりJAFの傘下にある公認競技会で、実に41%がそのライセンスを持たないエントラントで占められていました。JMRC神奈川部会の努力、ライセンスホルダーの皆さんの理解、それにクローズドをまとめるいくつかのコミュニティーによる告知活動 ...。それともちろん、参加費を支払って当日集まってくれたみんな。これらの内、どれが欠けても成立しませんでした。目に見える結果が出た人も、そうでない人も、支払った対価の分くらいは楽しめたのではないかと想像します。
この時間を守りたい。「じゃあまた」と言って別れた仲間と、次に会う機会を、また一緒に走る約束を確実にしたい。「次は3月23日だね」「今度は4月20日ね」と言って手を振るためにはどうしてもシリーズ設定が必要です。帰りに何人かで夕食に立ち寄って、やれ今日は誰が速かっただの、今日のポイントで誰がトップになっただの、そんな楽しみ方だって出来るのです。全く同じ参加費で、同じ時間を使って。ただシリーズタイトルさえ懸かっていれば ...。
JMRC神奈川部会は、きっと最初の約束を守ってくれるでしょう。クローズドクラスのエントラントが充分な台数集まれば、もし最終戦で合計100台の大台を超えるようなら、クローズドにシリーズを設定しても良い、という約束です。これは部会としては議事録にもどこにも明文化していない内容で、9月25日の部会で提出されたエントラント側からの意見書に書かれているだけです。EDDY(ジェニファー)が勝手に言い触らしている、と言われる可能性もあります。しかしその日、「100台超えるならやっても良いよね」と言ってくれた部会長の言葉を、僕は忘れません。
条件が揃ったとは言え、クローズドエントラントからの要求だけを通したのではあまりにも一方的な約束になってしまいます。当然の事ながら、そこには“取引”(笑)が存在します。部会側の希望を書いておきましょう。それは「公認クラスのエントラントを増やすこと」です。これまでクローズドで走っていた内の、誰か一人でも良いから来シリーズに公認クラスでエントリーしなければ、取引条件を満たすことが出来ません。では、誰が?アナタ?それとも君?それはどのマシンで?
マシンの寿命とランニングコスト、競技の結果、ここまでは何とかなります。しかしなによりも公認クラスの車両規定 ...これを考慮した場合、AE86では、いや、2号車EDDY号では無理と判断しました。車両規定に合わせようと思った場合、もう戻すと言うよりは、壊すと言った方が良いような手の入り方ですし、戻したが最後、もう同じような走りは不可能だからです。
僕は完全なノーマル車を手に入れて、そこからまた走り始めます。誰か、あのマシンに乗ってください。“そのために”走るマシンです ...。
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2002.12.12 切り込み隊長
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JAFスポーツライセンスを持たない、純粋なクルマ好きの皆さんへ。
自分の好きなクルマを、好きなようにモディファイして乗りたい。自分の腕がどの程度のものなのか知りたい。思い通りに愛車を動かしたい。もっともっと上手くなりたい ...最初にあったのは、そういう情熱 − ただそれだけだったように思います。やがてそれは、ほかの人と競いたい、走る以上は勝ちたい。というものに変わってきました。
「走るならライセンスが必要だ」− 誰が言ったかはもう記憶にありませんが、その当時、僕はかなりの気合いを入れてBライセンスを取得したのを覚えています。最後のFRカリーナAA63からAE86トレノに乗り換え、3ドアボディーの限界を感じて2ドアGTにスイッチ。そして初めて年間を通してシリーズ参戦したのは、BPスーパートライアルという草ジムカーナでした。ここでのライバルは、CAミラージュやNAシルビアであったり、アルトワークスであったり、カプチーノであったりもしました。クラス違い?いいえ、同じクラスです。ここでは、パワーウェイトレシオによってクラス分けが為されていたのです。当時も、そして今も、そのことに何ら違和感はありません。車両としてはどれも似たようなポテンシャルで、あとはドライバーの腕の勝負でしたから。MIVECでハイパワーとは言ってもCAはかなりのフロントヘビーですし、非力なNAに重いボディーとは言ってもシルビアには2リッターのトルクがありました。アルトやカプチーノもブーストコントローラーとマフラー、場合によってはタービンを替えれば軽く100馬力オーバー ...ただし極端に短いホイールベースでドライビングは決して楽ではありません。正に一進一退の白熱した勝負が続いていました。そうしたフィールドをメインで走っている内に年は明け、JAFのスポーツライセンスは失効しました。そう、この時に取得したライセンスは、ただの一度さえオーガナイザーに提示されることはありませんでした。無意識の内に公認戦を避けていたのかも知れません。幼い頃から水泳やサッカー、バスケットボールなど、ほとんど道具らしい道具を使わないスポーツに親しんでいた僕にとって、道具(=車両)の持つ能力別にクラスを分けるということ自体に、何か嫌な予感、いえ、嫌な思いをするに違いないという確信めいたものがありました。
ノーライセンスで走る日々が続きます。参加費だけでなく、交通費や食費、オイルやガソリンなど、毎回2万円もの現金を使っているのにたったの8本、場合によっては5本や6本しか走らせられない主催者達(それでも改善しようという謙虚な姿勢があればまだ救いようはあったのに)に憤慨し、自分たちで会場を借りて練習を始めました。クラブに所属しないため、近くに走り方をレクチャーしてくれる先輩格のドライバーもおらず、メンテナンスガレージを勝手気ままに使える時間もなく、ただひたすら手探りで走り続けました。そんな無謀なやり方でも、僕らの主旨を理解して一緒に走ってくれる仲間達は次第に増えてきました。レガシーワゴンやミニ、カリーナにGT−R・マーチ・セラ・プレオなどなど、その数は100車種・430名にも及びます。中にはソアラやローレルで迫力の大ドリフトを披露してくれる人もいます。きっちり作ったジムカーナ車両で、目の覚めるようなマシンコントロールを見せてくれる方もいます。僕は相変わらず決して上手くも速くもありませんが、それでも5年前と比べたら格段に手数は増え、運転にも多少は自信が付きました。サスペンションやシャシー、タイヤやエンジン特性が走りに与える影響もわずかながら分かってきました。そうして、月収の1割にも当たる2万円という支出を強いられたライセンスを失効して、もう5年もの年月が経ちました。
そこから外へ出ようとしたとき、つまり初めて公認戦へのエントリーを考えたとき、僕は初めて何か強烈な違和感を覚えたのです。以前から知ってはいましたが、車両規定のせいでこれまで一緒に走っていたようなクルマ達が全くと言っていいほど居ないのです。知識としてあることと、その光景を現実に目の当たりにすることは、似ているようで大きく違います。各クラスごとに、走っているのはわずか数車種。まるでワンメイクレースのようです。恐らく何の根拠もなく、排気量と駆動方式のみで分けられたクラス。そのクラスを「たまたま速く走れる車種だけ」が走っています。「だったら始めからワンメイクにすればいいのに」これが最初の感想です。今あなたが乗っている車で、誰もが気軽に参加できる − そんな見え透いた嘘に虫酸が走ります。だって走っている車種は、登録台数ランキングの50位にも入らないような、いわば「不人気車」ばかりなのです。
勝負が掛かっているなら道具にも金を掛けて当然だ、という意見を否定する気はありません。ただ、これからモータースポーツの底辺を支えていくのは、コースを覚えることすら不安で仕方がないような、そんな初心者の人たちであることに間違いはないのです。彼らがライセンスを取って初めて参加する競技会で、その光景を見ても、そんな特異な雰囲気を味わっても、それでも翌月には誰かを誘って戻って来るでしょうか?一体どれほどの確率で「面白いから一緒にやろう」と友人に言えるでしょうか?
僕が初めて競技らしきものに参戦したとき、その草ジムカーナの会場には様々な車種が集まっていました。カリーナ・ファミリア・カローラII・サニー305・セリカXX・VWゴルフ・アルトワークス ...。全く共通項の無いように見えるこれらのクルマ達ですが、実際には2つの大きな共通点がありました。それは、彼らがいつも乗っている車であること、そして彼らが乗りたいと思って入手した車種であること、の2つです。
どうかこれからも、ご自分で納得できるクルマに乗ってください。そのクルマを、自分の手足のように扱えることに喜びを見出してください。JAF − 「社団」法人日本自動車連盟の勝手な都合に合わせて、好きなクルマを降りるのは僕だけでもう充分です。いつか必ず、皆さんと同じところに帰ってきます。これからもずっと皆さんが楽しくクルマに乗り続けられることを、僕は心から祈っています。それでは、行って参ります。 − 歪んだ世界へ。
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